疾患のイメージ
・大腿骨転子部骨折とともに、大腿骨近位部骨折というくくりで分類されます。
・特に高齢者など、骨粗しょう症のある方に多い骨折です。通常は転倒、転落などの外傷を契機となりますが、足をひねっただけで折れることもあります。
・健康な比較的若い方でも、過度な運動(マラソンなど)が続くと疲労骨折を起こすことがあります。
症状
・股関節部の疼痛が現れます。通常は立ったり歩いたりが困難となり、股関節や膝関節の運動(通常股関節も動くため)も難しくなります。
・体の前方から、股関節部(足の付け根当たり)を圧迫すると圧痛が出ることがあります。
・疲労性の骨折の場合は、徐々に疼痛が増すものの、歩くことができることがあります。
診断
・レントゲン、CT検査で診断されます。CTでもわからないような、ずれがない骨折はMRI検査でわかることがあります。骨折型の分類(どういう折れ方をしているかという分類)には、garden分類がよく用いられます。
治療
1 保存加療
・安静、免荷で経過観察する。年齢が比較的若い方で、骨のずれがほぼなく、松葉歩行がしっかりできれば選択することもある。
・超高齢や既往症により手術のリスクが高すぎると判断された場合も適応となる。
2 手術加療
人工骨頭置換術、人工股関節置換術、骨接合術が選択される。
①人工骨頭置換術
一般的に行なわれる手術。骨折した骨頭部分を除去し、金属の人工骨頭に入れ替える。骨頭は大腿骨に固定するため、棒状のステムという金属を大腿骨に埋め込み、そこに骨頭をつける。
②人工股関節置換術
一般的に行なわれる手術。①に加えて、骨盤側の骨も削り、金属のカップを設置する。